梅雨の影響で、このところ曇りの日がつづいている。湿気を帯びた風が肌に張りつく。仕事が一区切りついて急に暇になってしまったことも相まって、なんだか気分が重たい。今日は有給休暇を消化して休みにしたけれど、明日仕事かと思うと嘆きたくなる。 いつの…
仕事がおわってから恋人と合流して、付き合い始めて一年になる今日を祝った。タリーズコーヒーでお茶をしようと、テラスでのんびりしていたら耳元で虫の羽音がきこえた。蚊だ。途端に体も意識もそわそわし始める。二人とも飲み終わったので、散歩でもしよう…
職場を出ると夜の帳は下りていた。左膝の痛みを庇いながら歩きはじめる。ウィンドブレーカーのポケットから取り出したイヤホンを耳の穴に嵌めこんで、音楽を再生する。家から職場までの距離はだいたい2キロぐらい。自転車やバスを選べばいいのに、やや長い道…
春の曖昧な気温のせいで、頭が痛い。ゆっくりお風呂に浸かったあと、布団にくるまりながら文章を考えている。明日も働かなくちゃいけないけれど、なるべく仕事のことは意識しないようにしている。午後からは、恋人に会う。何を着て行こう。今はとりあえずそ…
今日は、仕事が終わってすぐに、職場近くの耳鼻科へ向かった。二月半ばからつづく鼻水・鼻づまりに嫌気がさしたからだ。処方薬をもらって薬局を出ると時間は6時半をすぎており、遠くの方の空は翳りつつあった。ただそれでも、やはり夜の訪れは日ごと短くな…
ある日、窓口に来た女性が、自分は軽度の認知症を患っていると言った。僕は平静を装いながら「どうぞ席にお掛けください」と促したが、正直なところ、唐突すぎてどう反応すればいいのかわからなかった。 認知症の患者さんに関わることがなかったため、あくま…
梅の花が咲いていた。真白い色の粒つぶが、誰よりも早めに春の気配を教えてくれる。公園へと向かう道すがら、車の窓のすきまから漏れてくる風は、いつもより柔らかいような気がした。ふいに指を風の方へ差し出してみる。いつも季節の方から先に新しくなって…
仕事がここ最近忙しい。窓口対応に明け暮れて、終業後も外が暗くなるまで残業する。疲れは翌日に持ち越され、曜日の感覚がだんだん怪しくなってくる。なんのために仕事してるんだっけ…?残業代がつくだけ有難いと思うし、もはやそれだけを頼りに体を動かして…
先日、林史也さんの『煙たい話』という漫画を購入した。この作品のあらすじをかなり大雑把に紹介するならば、「男性二人が同じ部屋で暮らす話」なのだけど、なぜだろう、僕は文章という形でこの漫画について語りたいと思っている。 まず、先ほど「男性二人」…
家まで帰る時間が一日の中で一番好きかもしれない。自転車をこぎながら、固まっていた熱がほどけていくのを感じる。肩のあたりから風になっていくように思える。別にもう愛想笑いは必要ないし、社交辞令も求められない。同僚と鉢合わせするのを避けて、遠回…
齢をとるというのは、どういうことなのだろう。別段、長生きしたいわけではないけれど、予め考えておいて損はないような気がする。アリたちも、冬の季節に備えて夏の日も働いているわけだし。 人によってさまざまだと思うけれど、年齢を重ねることを否定的に…
ほとんど一年ほど、友達にどう連絡をとればよいものかと考えあぐねいている。最後に話してから今までの間にさまざまなことが起こったように思うが、季節の速さに記憶が間に合わないので、うまく思い出せない。 彼らとはインターネットを通して出会ったので、…
やっと休日が来た。特に用もなく町に出て、書店で新刊の本を手に取ってみたり、気になるブランドのお店を横切ったりして帰る。家でパンを口にしてだらだらしていると眠たくなって、枕から顔を上げればもう夕方になっている。そう言う風にして、あっという間…